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平成27年6月定例会(第2日目) 名簿
平成27年6月定例会(第2日目) 本文

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  1. 島根県議会 2015-06-02
    平成27年6月定例会(第2日目) 本文


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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成27年6月定例会(第2日目) 本文 2015-06-23 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 20 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長絲原徳康選択 2 : ◯五百川純寿議員 選択 3 : ◯議長絲原徳康選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長絲原徳康選択 6 : ◯農林水産部長坂本延久選択 7 : ◯議長絲原徳康選択 8 : ◯教育長藤原孝行選択 9 : ◯議長絲原徳康選択 10 : ◯議長絲原徳康選択 11 : ◯和田章一郎議員 選択 12 : ◯議長絲原徳康選択 13 : ◯知事溝口善兵衛選択 14 : ◯議長絲原徳康選択 15 : ◯政策企画局長丸山達也選択 16 : ◯議長絲原徳康選択 17 : ◯健康福祉部長藤間博之選択 18 : ◯議長絲原徳康選択 19 : ◯教育長藤原孝行選択 20 : ◯議長絲原徳康) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時3分開議 ◯議長絲原徳康) おはようございます。  これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  各会派の代表質問を行います。  質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。  自由民主党議員連盟代表五百川議員。  〔五百川純寿議員登壇、拍手〕 2: ◯五百川純寿議員 おはようございます。自民党議員連盟五百川でございます。ただいまから代表質問を行いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  私は、旧八束郡宍道町の出身であります。宍道湖沿岸の町部と山間部が混在する旧松江市近郊の町で育ちました。小学生のころのふるさとを思い起こすと、病気になれば今のような高度な医療ではありませんでしたけれども、町のお医者さんが往診してくれました。学校もゴム草履足洗い場で洗い、そのまま教室に入るような、決して近代的な学校ではありませんでしたけれども、友達と三々五々楽しく安全に通学できる学校でありました。そして、食料品や衣類など生活必需品も、今のような大きなスーパーはありませんでしたけれども、個人商店から手に入れることもできました。また、そこそこの災害ならばスコップやくわなどを持ち寄り、みんなで時間をかけて対応いたしました。  このような感慨は決して私だけのものでも宍道町だけのものでもなく、私と同世代にこの島根県に生まれ育った多くの人に共通した幼少期の原風景ではなかったかと思っております。都会の華やかさに対する憧れはあったにせよ、生涯にわたってここに住み続けることに大きな不安は感じることはありませんでした。なぜならば、それは県内どこに住もうが、そこに住む人々にとって生活環境を提供する基盤があり、地域コミュニティーが機能している心のよりどころがあったからであります。  では、今日このような心のよりどころが、県全土を見渡したとき、一体どれだけの地域に担保されているのでありましょうか。例えば、県都松江市を考えますと、救急車を呼ぶ事態が生じた場合、救急車が到着するとすぐに、日本の最先端の医療機器は整備はされていないかもしれませんが、我が国で定める3次医療レベルの診療可能な病院へ運んでくれます。東京では救急車が到着してからなかなか動いてくれません。なぜならば受け入れてくれる病院がなかなか見つからないからであります。人口1,200万人も住む都会では常に救急病院は満杯であります。まして、テレビなどで流れる最先端の医療を受けられるのはほんの一握りであります。  また、都会のように高額の学費を納めて、いわゆる一流の学校へ多くの生徒を進学させる学校はないのかもしれない。しかし、ここ松江市においては都会よりもずっと安い学費で、頑張りさえすれば希望の学校へ進学できる教育環境も整っております。そして、都会のような大型店が乱立する風景は見られませんけれども、それなりに大型店舗、中小店舗から生活必需品は苦労することなく入手することができるわけであります。出雲市においてもほぼ同様だと思います。年老いてビルの谷間でひなたぼっこをする年寄りの姿が幸せなのか、自然に抱かれ木漏れ日のもとでひなたぼっこをする姿が幸せなのか、考え合わせましても、決して松江、出雲の生活環境は東京に負けないと思っております。  しかし、これらの自然や歴史、文化と都市機能がほどよく調和した生活環境を、一体どれだけの県民が享受できているのでありましょうか。それは松江市、出雲市とその周辺地域に限られ、石見部や県土の大半を占める中山間地域や離島では、もはや心のよりどころが失われつつあるのではないかと思います。中山間地域や隠岐地域がどんなに歴史、文化に恵まれ、どんなに自然豊かな地域であろうとも、心のよりどころなくしては暮らしていけないのであります。  この島根の地に生まれ育ち、これからも住み続けようとする人々に対して、病気にかかればそう遠くないところに病院があり、安全に通学できる学校があり、生活必需品も身近に手に入る。また、ある程度の災害については対応できるなど、日本に生まれた豊かさとこの地域に住む喜びを、十分ではないのかもしれないけれども、何とか享受して生活していただけると自負できる生活環境を提供すること、現代版の心のよりどころ、いわば島根型ローカルミニマムを示すことが何よりも大切なことであると考えております。  この言葉は、私が勝手に名づけた造語でありますが、ナショナルミニマムが国家が国民に保障する生活水準であるとするならば、島根型ローカルミニマムとは島根らしい自然や歴史、文化などの心の豊かさや互いの思いやりなどの地域コミュニティーを将来にわたって保障し得る生活水準であります。観光振興も企業誘致もUIターンなどの定住対策も極めて重要な政策であることは言うまでもありませんが、これら対外的な発信の前に、まずはこの島根型ローカルミニマムを県民に対して明確に示していくことが大切だと思うのであります。  私がここで言う島根型ローカルミニマムとは、決して地域に今まで以上の頑張りや創意工夫を強いるものではなく、何とかその地域で暮らすために日常の生活を支える基礎的な環境を提供することであります。私がここまで述べてまいりました島根型ローカルミニマムという毛布を敷けば、島根に住む人々がこの毛布の上で島根に生まれた豊かさと、そこで生きる喜びを感じていただけると信じております。  そして、為政者としてこの島根に生きる誇りと自信を持って初めて、ぜひ自然と歴史、文化に抱かれたこの島根で心豊かな充実した人生を送ってくださいと呼びかけるべきであります。その毛布の上で観光振興、企業振興、UIターンなど種々の地域振興策が結実するものと思います。  私は、政治は卓越した能力がある人や奇抜な発想をする人々を対象とするのではなく、あくまでも地域の平均的日本人、最大公約数的日本人、平均的家族を念頭に、那辺をもってよしとするか、これを政策としてうたうべきものだと思っております。
     そこで、政治家たる知事にお聞きいたします。  私のこの島根型ローカルミニマムのような考え方について、どのような所見をお持ちなのか伺います。  まず、知事が政治家として県民に対して島根型ローカルミニマムを示す。そして、県行政のトップとしてその具体的な取り組みを県下にどのように展開していくのか。まさにこれが県土論だと思うのであります。私はこれまで本会議において知事に対して再三再四、県土論について質問を繰り返してまいりました。しかし、いまだに私が得心できるようなお答えをいただいておりません。  知事におかれては、また県土論かといささか辟易されていることと思いますが、しかし政治家として県行政のトップにある知事として、県民の前にふるさと島根の将来像を示すことは重大な責務であり、示さないことは政治家として怠慢だと思うのであります。これから取り組む地方創生についても真の意味において、この県土論との整合性が重要だと強く認識しているところであり、そうであるがゆえに私がこれほどまでにこだわるゆえんであります。  まずはこの島根の将来をどのように描いていくのか、知事が明確な県土論の理念、構想を示し、その実現のための戦略、いわゆる政策を練り、そして戦術、いわゆる施策が執行されるべきだと考えます。そして、戦略や戦術が県土論にきちんと整合性を持って展開をされているのか、その都度検証を繰り返し進められていくことで、徐々に県の将来像の輪郭が浮かび上がってくるものと考えております。  とりわけ県民に最も身近で、生活していく上で必要不可欠な教育、福祉、医療などの分野においては、将来を展望した高い視座に立って政策を展開していく必要があろうと思います。よって、県土論という総論なくしては、各論は一貫性や計画性を欠き、場当たり的でその場しのぎの刹那的なものとなってしまうのではないかと思います。  知事は、県土論の重要性についてどのような認識を持っておられるのか、私のこのような考え方について、所見を含めて伺いたいと思います。  県土論の最も基本に据えなければならないのは地域政策であろうと思います。全県的な視野から県土のあるべき姿を中長期的な展望に立って見据えていく必要があります。この広い県土を大まかに縦軸と横軸で4つに区切って考えてみますと、先ほど述べましたように、自然や歴史、文化と都市機能がほどよく調和した生活環境を享受できているのは、松江市と出雲市、またその周辺部の地域に限られ、同じ沿岸部にありながら、西部地域の浜田市や益田市にはまだ十分な都市機能が備わっておらず、その周辺部への波及的な影響力も弱く、ましてや中山間地域や隠岐地域においては、日常生活を支える条件さえも整っていない状況にあります。  県全土を松江市や出雲市と同じようにすることは到底不可能ではありますが、まずは石見部の浜田市や益田市の都市機能をより高度化し、周辺地域にもその影響力を強めていくことが必要であります。山陰道の早期整備は島根県の一体化を図るためにも最重要課題だと考えます。  そこで、問題なのは中山間地域への政策であります。中山間地域には森林の持つ災害防止機能、水源としての機能、自然、歴史、文化を守ってきた機能などがあります。こうした機能を強化して積極的な振興を図るべきことは言うまでもありませんが、しかし人口の減少と財源が削減していく、そういう中、地域の振興を図る以前の問題として、地域の維持、存続を命題としなければならない厳しい現実を直視すべきであろうと思います。  今後ますます少子高齢化が進行する中、医療や介護に対するサービス提供や日常生活へのサポートが加速的に増大していく、しかしその一方では、限られた財源でこれらのサービスやサポートを行っていくことに限界がある。ならば、この2つの必然を克服していくためには、地域の核となる一定の範囲内に人口を集約するような仕組みとセットにしないと、もはや地域の維持、存続が不可能ではないかと考えます。  がしかし、この住民を移住させるという政策は一種のタブーに近いことも十分に承知をしております。多くの人が昔からの土地を離れたくないという思いから、住民の猛烈な反発を受けることは必至であります。したがって、今住んでいる人を直ちにとか、なし崩し的にとかというのではなく、当該地域の人口がこのままで推移するならば、20年、30年後の人口や年齢構成がどうなっているのか、サービス水準はどうなるのかなど、将来の姿を目に見える形で示していく中で、例えば雪の多い地域であれば冬場の期間だけでも地域の中心地で生活してもらうなど、経過措置をとりながら自発的な域内での移住が進むような方策を提案する、それは言いかえれば延命工作ではなく、積極的な地域再生への誘導政策だと思います。  これはあくまでも選択肢の一つではありますが、私がこのような提言をする背景に大きくは2つの理由がございます。  その1つは、もはや避けて通れない少子高齢化の進行であります。少子化対策が功を奏したら直ちに少子高齢社会を回避できる、そのような幻想がありますけども、仮に飛躍的な出生率の改善があったとしても、その効果が発現するのは早くても四半世紀後、ここ数十年間は少子高齢化が進行することは自明のことであります。ならば、数十年後の地域社会を模索した仕組みづくりを今から考えていかねばならないという切実たる思いからであります。  いま一つは、国、県の危機的な財政事情であります。最初の話に戻りますが、島根型ローカルミニマムという毛布を今までどおりに県全土に敷き詰めることができるならば、このような提言は必要ありません。しかし、国、県を通じた厳しい財政状況を考えるならば、とらざるを得ない選択肢となると思うからであります。  知事は、現状認識を踏まえ、今後の中山間地域対策の選択肢の一つとして、域内移住のような考え方に対してどのような所見をお持ちなのか伺います。  そして、この中山間地域の対策に限らず、政治とは目先の住民の意思や自発的な動きに寄り添って政策を進めるばかりではなく、時として将来にわたる地域や住民の幸せを思う中で、厳しい判断や選択を迫るような政策を提言することも使命であると考えますが、知事の所見を伺います。  さて、ここまで知事の政治姿勢についての総論的な意見を申し上げました。ここからは関連する個別課題について質問をいたします。  まず、財政健全化についてであります。  知事は平成19年に就任当初から、産業振興や雇用の確保、医療、福祉や教育の充実など、さまざまな県民サービスの確保に力を注ぐ一方で、財政健全化基本方針を策定し、財政の健全化にも取り組んでこられました。この結果、これまでのところおおむね基本方針に沿って収支改善が図られていると承知をいたしております。しかしながら、昨年の財政見通しでは、今後90億円から100億円もの収支不足が見込まれ、また地方交付税など今後の地方財政対策の動向なども不透明であります。さらに、今後はこうした財政健全化と大きな課題である地方創生・人口減少対策を両立させていかねばなりません。したがって、基本方針で目標としている平成29年度において、給与の特例減額などの特例措置なくして収支均衡の状態にすることができるのか、予断を許さない状況にあります。  そこで、知事は財政健全化基本方針の目標達成に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、高速道路の整備についてであります。  県の東部において、既に出雲以東の山陰道が整備され、中国やまなみ街道、尾道松江線の全線開通により、山陰、山陽、四国を結ぶ連携軸による観光振興や企業連携など新たな動きも見られ、地域経済への効果が広がっております。しかし、県西部においては浜田道の完成こそ早かったものの、山陰道の整備がおくれているために、高速道路ネットワークの効果を十分に受けることができておりません。そのため、石見地域は特色ある地域資源や産業を生かし切れず、国内外の産業や経済活動から取り残されており、人口減少も著しく、東西格差が広がってきていると感じております。  島根県にとっては、一日も早く県土の骨格となる山陰道をつなぐことが重要であります。山陰道の早期全線開通について、知事としての意気込みを伺います。  次に、地域医療の確保についてであります。  我が国は2025年には、2010年に比べて75歳以上の高齢者が1.5倍に増加すると見込まれております。特に、大都市部では倍増するところもあり、爆発的な医療、介護需要の増大に対し、サービスを受けられない都市居住者は地方へ移住を推進すべきという提言も出ている状況であります。一方、高齢者の増加を背景に、医療費は毎年1兆円近く増加し続けている中で、医療費の増加の抑制は国の財政上必須の課題であります。  そうした中、国は地域医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県に地域医療構想の策定を義務づけ、在宅医療への移行などにより病床の削減を進めようとしております。先日、厚労省は島根県では病床数が3割減るという衝撃的な試算値を発表しました。これにより、例えば大田市のように現在進んでいる病院建設計画などへ多大なる影響が出るのではないかと心配をいたしております。老老介護や独居老人がふえている本県で、本当に在宅医療へ移行できるのか、病床数を減らして地域医療が成り立つのであろうかと思うわけであります。少子化にかかわらず待機児童がふえている現在、我が子の養育さえ大変な若い夫婦の生活実態を鑑みますと、私には到底理解できないものがあります。  こうした国の姿勢を見るとき、地域医療を取り巻く環境はだんだんと厳しさを増していくと考えますが、これから県として地域医療構想を策定するに当たって、知事の所見を伺います。  また、現状においても、県西部や中山間地域では、医師の高齢化や不足により診療所の廃業や診療体制を縮小せざるを得ない医療機関が出てくるなど、極めて厳しい状況にあります。県西部や離島、中山間地域など人材が不足する地域での医師の確保について、どのように進めていこうと思っておられるのか、知事の所見を伺います。  次に、医療と介護の連携についてであります。  先ほど述べた地域医療を取り巻く状況から、今後高齢者が住みなれた地域で、できるだけ自立した生活を送られるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援のサービスを切れ目なく提供していく地域包括ケアシステムの構築については、市町村が主体となって取り組んでいるところであり、極めて重要なことと認識をいたしております。  その構築に当たっては、医療と介護の連携がとりわけ重要であります。医療、介護人材や退院後の在宅医療を支える受け皿など、体制は地域によって異なり、解決すべき課題も一律ではありません。県として市町村をどのように支え、地域包括ケアシステムをどう構築していくのか、県の姿勢と考えを伺いたいと思います。  次に、定住政策であります。  国は日本の人口減少問題に対処するため、地方創生の総合戦略を策定し、大都市圏から地方への移住政策に取り組もうとしております。既に島根県では県人口が自然減に転じた平成4年を定住元年と位置づけ、以来二十数年間にわたり県、市町村、ふるさと島根定住財団等が一丸となって、UIターン対策を積極的に進めてまいりました。  しかしながら、一方で島根に生まれ、なりわいを得て島根に暮らし、ふるさとを守り続けてきた多くの県民のことを思うとき、私は定住政策を議論する前提として、まずは島根で生活する県民のことを一番に考えるべき、すなわち県民本位こそが県政の柱になるべきだと思っております。  定住政策とは、全ての島根県民が将来にわたって安心して住み続けることができるようにすること、そして子どもや孫の世代にも誇りを持って島根で生きることを選択してもらえるようにすること、これらに軸足を置き、そこからさらにUターン、Iターンという施策へウイングを広げていくべきだと考えます。  知事の考える定住政策とはどのようなものなのか、基本理念を伺います。  次に、少子化対策についてであります。  島根県は既に高齢県であるがゆえに、人口の自然減が今後加速していくことが必至であります。人口の減少とともに地域内での消費、生産、雇用の縮小が進行し、安定した仕事や収入が得られない若者がますます結婚から遠のき、少子化が加速するという悪循環に陥ることが懸念されます。安心して暮らせるふるさとを将来にわたって存続していくためには、地域で一定の人口規模を維持確保すること、すなわち一人でも多く若い世代の定住を促し、島根の将来を託す子どもたちをふやしていくことが必要不可欠であります。  しかしながら、先日の人口動態調査によると、昨年島根県で生まれた子どもの出生数は5,359人で、前年より175人減っております。また、合計特殊出生率は1.66で、引き続き全国3位とはいうものの、長期的に人口を維持していくために必要とされる水準の2.07には遠く及ばない数値であります。また、仮に出生率が人口維持水準以上に回復したといたしましても、妊娠や出産の適齢期と言われる世代の人口が今後急激に減少してまいりますので、少子化に歯どめをかけるためには長い年月を要すると言われております。  こうした中、国ではこの3月に国の施策の指針となる少子化社会対策大綱について、5年ぶりの改定を行いました。少子化の原因として、未婚化、晩婚化、子ども・子育て環境の問題などさまざまな要因が指摘されてきました。しかし、従来の子育て支援を主とする対策では少子化の流れを食いとめることができませんでした。今回の大綱は、結婚から子育てまでの各段階に応じた適切な取り組みが必要であることを明記し、地方自治体による結婚支援の必要性についても初めて踏み込んだ内容となっております。  また、子育て支援、男女の働き方、妊娠、出産に関する教育、企業による子育て支援などの分野において、2020年までの数値目標が初めて盛り込まれたところであります。この大綱に基づき、国としての責任が全うされるよう注視をするとともに、島根県からもしっかりと声を上げていく必要があろうと思います。そして、知事には大きな危機感のもと、これまで以上に踏み込んだ少子化対策に取り組んでいただきたく思っております。  そこで、県として少子化対策にどのように取り組んでいかれるのか、知事の所見を伺います。  次に、教育の充実についてであります。  島根で生まれた子どもたちを夢と希望を持って地域の将来を担う人材に、また国際社会で活躍する人材を育成していくためには、教育の充実が大変重要であります。教育の目指すべき理念は、基礎学力や専門知識だけでなく、豊かな感性、そして命のとうとさを理解し、人を思いやる心をあわせ持つことだと思います。そして、そのためにも国や郷土の伝統文化について理解を深め、県民愛を育むための教育も必要であります。すなわち学力の向上と情操感の育成をセットにする、この基本理念を担保することが島根県の目指すべき教育であろうと考えます。  そのような教育を通じて地域社会にぬくもりに満ちた活力が育まれると大いに期待をしているところであります。地方創生の観点からも学校と地域の新しい連携、協働、そして社会全体で子どもたちの教育に取り組む仕組みづくりが求められております。学校としても従来以上に積極的に地域と連携し、保護者や地域の期待にぜひ応えていただきたいと願っております。  そこで、島根の教育の充実をどのように図っていくのか、教育長に伺います。  次に、県立大学松江キャンパスの4年制化についてであります。  松江キャンパスは創立以来、長く女子教育のかなめとして、そして近年は男子学生にも門戸を開放し、県内の多くの高校生を受け入れ、2年間の修学期間の中で、資格取得など実社会に生きる教育を行ってきた意義は大きいものがあります。このたび県立大学短期大学部の健康栄養学科、保育学科、総合文化学科の3学科について、知事は4年制の導入を決定されました。ただ、保育学科、総合文化学科については、短期大学部を残す方向で検討されているということであります。  特に、保育学科に関してみますと、志願倍率は2倍に近く、一般選抜試験入学者の5割から6割が第1志望で受験し、県内出身の卒業生のほぼ全員が県内に保育士として就職し、定住に大きく貢献をいたしております。  今後、県はまず島根県民を大事にする、ここに軸足を置いて定住対策の実効性を求めるのであれば、その声なき声に精いっぱい耳を傾けて、短大を残していくことが理念に沿うことになるのではないでしょうか。ここにしか選択肢を持てない県民を守るべきではなかろうかと私は思います。人は生まれる環境を選べないのであります。生まれ出た環境から一生懸命頑張れば人生は開ける、頑張れば必要な資格が取れる、そんな環境を整えること、すなわち包容力のある教育環境をつくることが島根の教育であろうと考えます。  今後、短大を含め、県立大学の4年制化をどういう理念で進めていこうとされているのか、改めて知事のお考えを伺います。  次に、中小企業の活性化について伺います。  国内経済は実質GDPが6・四半期連続のプラス成長となるなど、緩やかな回復基調が続いております。一方、我が国の構造的な課題として、人口減少による経済の縮小が地方の弱体化を招き、大都市圏を含めた国力全体の低下が懸念されております。政府は、この課題克服に向けて地方創生の取り組みを始めたところであり、地域の特性を踏まえた効果的な施策展開が期待されております。  そういう中、本県においては取り組みの柱として、島根への人の流れをつくると同時に、島根での安心な暮らしを守るため、雇用の維持、拡大を図る産業の振興が必要であると考えております。県内企業は、ほとんど全てが中小企業や小規模企業であり、これらの企業が地域経済や雇用の中心的な担い手となっております。しかしながら、景気が回復基調と言われる中、県内中小企業の数は減少しており、今後も大手企業の発注動向の変化や円安等による原材料価格などのコスト上昇の懸念もあり、厳しい経営環境が続くものと予想されます。  安心して働くことができる雇用の場を維持、拡大するためにも、地域の経済活動を支える中小企業が経営力や技術力、販売力などの競争力を一層強化していくことが必要と考えますが、知事の所見を伺います。  次に、雇用の確保についてであります。  政府が景気回復に努めた結果、全国的に求人倍率は上昇傾向にあります。既に多くの県内企業において人手不足が経営課題として浮上している中、早急な人材確保対策が必要であります。また、大都市圏では多くの大企業が新規採用数をふやしてきており、また同時に都会と地方との賃金格差も広がりつつあり、本県の地域産業を担うべき若者の県外流出が拡大することが懸念をされているところであります。特に新規学卒者等、若手人材の確保は本県の雇用政策の重要課題であると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。  また、本県において、新規学卒者が採用後、比較的短期間に離職するケースが多いと聞いております。県内企業に就職した若者の離職は、本人と企業の双方にとって大きな損失であり、重要な課題であろうと考えますが、県の対応策を伺います。  次に、農林水産業の振興についてであります。  昨年6月、政府は農林水産業・地域の活力創造プランを策定いたしました。その後相次いで決定したまち・ひと・しごと創生戦略や新たな食料・農業・農村基本計画においても、農林水産業の成長産業化や活力ある農村の創出に向けての方向性が示されたところであります。これらが生産額の低迷や就業者の減少、耕作放棄地の増加など厳しい状況に置かれた我が国の農林水産業、農山漁村にとってよりどころになるものと期待をいたしております。  しかし、現実には米価下落の対応一つを見ましても、現場の不満や将来への不安を解消できていないのが実情であります。  本県では、農業は米づくりを基幹とし、各地域の特徴や強みを生かした作物が生産されておりますが、引き続き農業・農村を持続的に維持発展していくためには、さらなる官民の連携協力が重要であります。また、林業では豊富な森林資源を循環利用し、森林・木材産業を成長産業化する工夫が必要であります。そしてまた、水産業では資源の減少、長期的な魚価低迷、生産資材の高騰に加え、漁船の老朽化などにより厳しい環境に置かれており、経営基盤強化が急務となっております。  そこで、知事は基幹産業である農林水産業の振興にどのように取り組んでいかれるのか伺います。  また、農林水産業の発展や農山漁村の維持に真剣に取り組む上で、農林水産業の担い手の確保は重要な課題であります。これまで県は例えば農業において、国の制度に基づいた認定農業者や認定新規就農者、集落営農法人などに加え、他県に先駆けた企業の農業参入、地域貢献型集落営農や半農半Xといった島根ならではの担い手確保、育成に取り組んでまいりました。  5月下旬の新聞紙上では、昨年度の新規就農者数が過去最多となった旨の報道がありました。しかし、人口減少や高齢化が著しい中山間地域等においては、担い手の数は決して十分ではありません。また、林業や漁業においても同様に担い手確保策が必要ではないかと思います。そしてまた、近年ニーズが強くなりつつある若い就業希望者を受け入れ、確実に担い手へと育成していくことが急務であります。将来に向け、本県農林水産業が発展していくためには、担い手の育成、確保策を強化すべきと考えますが、担当部長の所見を伺います。  次に、島根原発1号機の廃炉についてであります。  東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故の反省と教訓を踏まえ、原子力規制委員会が設立され、厳しい規制基準が施行されました。また、一方で原発の運転期間を原則40年とし、20年を限度として延長の認可ができることとされました。中国電力は、このような状況の中、運転開始から40年を超えた島根原発1号機について廃炉を決定し、4月末をもって営業運転を終了したところであります。しかし、原子炉は運転を終了しても、なお高レベルの放射性物質が存在するため、廃炉作業に当たっても地域住民にとっては安全性の確保が最大の関心事であります。  島根原発1号機の廃炉に当たっては、原子炉等規制法にのっとり廃止措置計画を取りまとめた上で、原子力規制委員会の認可を受けることが必要であり、現在中国電力はこの計画を作成中と聞いております。廃止措置の工程には、使用済み燃料の搬出や施設の除染、解体撤去などがあり、終了までには30年程度を要するとされておりますけれども、知事は今議会の施政方針演説で、廃炉作業が安全かつ確実に進むよう、中国電力に対し適切な対応を求めていくと述べられました。今後、1号機の廃炉について県としてどのように対応していくのか伺います。  質問は以上であります。私は、島根県知事に求められているのは、島根の進むべき方向とその到着地、すなわち着いた先にはどのような風景が待っているのかを県民に明確に示すことであろうと思います。行政が知事の示した方向に整合性を持って積み上げ作業を行い、その結果指示された目的地に到着したにもかかわらず、その到着地の風景が知事の示していた状態と異なっていた、そのときには知事として知事判断の責任をとらねばならないと思っております。溝口知事には県民愛を持って御答弁をいただけるようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 五百川議員の御質問にお答えを申し上げます。  最初の質問は、議員の造語であるとおっしゃっておられますけども、島根型ローカルミニマムについての質問であります。  議員御指摘の島根型ローカルミニマムとは、県民の皆様に生をうけた島根の豊かさと、島根で生きる喜びを享受しながら生活していただけるような生活水準を確保するよう、行政が取り組んでいくべき一つの目安のようなものと理解をいたしております。私も議員と同様に、県民誰もが県内どこでも安心して生活ができるよう、互助、共助などの地域のコミュニティーが機能する地域社会を維持、形成をするということは大切なことだというふうに考えております。  他方で、県民各人の生活実態やニーズなどは、地域により、人によりそれぞれさまざまでありますし、また地域ごとに目指すべき一定の行政水準につきましては、検討すべき幾つかの課題もあるように思います。例えば、地域と言った場合にそれは市町村単位でお考えなのか、あるいは市町村の地域ごとに考えておられるのかといったようなこともございます。県は、全体として県全体の計画をつくったりはいたしますけれども、各市町村はそれぞれ御自分のところで総合発展計画を持ち、そしてそれに県と同じような計画もお持ちなわけでございます。したがいまして、市町村単位としたような場合に、では地域ごとにどうなるかということになりますと、市町村も合併で大きくなっており、市町村の中でもそれぞれの地域で状況は相当異なっておるわけであります。各地域をどう取り扱うかということにつきましては、やはり市町村が主体となって取り組むことでありますので、市町村ともよく話をする必要があろうかというふうに思います。  また、議員が冒頭、地域ごとに心のよりどころとなる行政サービスとして挙げられた例からしますと、医療あるいは介護、福祉、保育、初中等教育などにつきましては、市町村が主体的な行政機関でございますので、県がこうしなさいああしなさいという前に、市町村が個別の計画を持っておりますから、その中でいろんなことをやっておるわけでありまして、そうした点につきましては市町村との調整、話し合いというのが不可欠だろうというふうに思います。  また、そうした市町村単位で行われている行政サービス水準そのものを、相当長い将来にわたってどのように保障するのか、これは県が保障するというよりも、市町村がやはり主体的に考えていかなければならないと思います。県は全体として総合発展計画をつくり、個別の分野ごとの中期計画もつくっておるわけでございます。市町村も県とほとんど同じような体系をとって、そういう計画づくりをしておるわけでございまして、そういう意味でローカルミニマムと申しますか、地域地域の内容は、県は全体として、市町村はそれぞれの市町村の中でどうお考えになっているかということはやられておるわけでございまして、そこら辺のところをどういうふうに議員がお考えになっているのか、またそういう点につきましてもお教えをいただく必要があろうかと思います。  しかし、いずれにしましても、議員のおっしゃるような地域地域で一定の生活水準が保たれるように、県が支援をしていくということは大変大事なことでございまして、私どもとしましても議員のお考えを具体的によくお聞きしながら、よく検討をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げる次第であります。  次に、県土論の重要性についての御質問でございます。  議員御指摘のように、島根の未来を構想として示し、その実現のために政策なり、施策や事業を執行していくということは大変大事でございます。この点は、県で言いますと、繰り返しになりますけども、総合発展計画のもとに、各部署でほとんどあらゆる分野の中期計画をつくっておるわけでございまして、これをつくるに際しましては、いろんな審議会を設けて県民の方々の意見を聞きながら、そして議会にも説明しながらつくっておるものでございます。例えば、防災、地域振興、環境、生活、健康、福祉、農林水産、商工、土木、教育、いずれもあるわけでございます。そういう意味でそれをローカルミニマムとして示すということになりますと、やはりそうした点をどういうふうに考えるかということが必要ではないかというふうに思う次第でございます。  次に、中山間地域対策について、域内移住について御質問がございました。  今後の県土の状況を想定してみますと、議員御指摘のように、中山間地域において買い物、金融、医療、介護等の日常生活に必要な機能、サービスを確保するためには、より広いエリアで集約化が図られていかなければならない可能性は高いわけでございます。そして、その維持が困難となることが予想される地域も出てくることと思います。そういう中で集約された機能、サービスを広い地域から利用できるようにするためには、交通弱者の移動手段を確保する必要もあります。  このように集約化と交通対策を並行的に進めていくことが必要となると思いますが、交通対策が十分行き届かないようなところでは、住まいを移すことをお望みになる住民の方々も出てこられるということも考えられるわけでございます。そうしますと、今地方創生等でいろいろ言われておりますけども、地域のいわゆる小さな拠点づくりをどう進めていくのかということなどとも関連が出てくるものと思います。この問題は、各地域の状況変化などもよく見きわめながら、今後関係市町村などとも一緒になりまして検討しなければならない一つの課題だろうというふうに思っております。  次に、将来にわたる地域や住民の幸福を思う中で、厳しい判断や選択を迫るような政策を提示するということが政治の一つの使命ではないかという御質問でございます。  私も国、地方とも厳しい財政状況にあることや、今後の人口減少など厳しい現状を踏まえますと、公共サービスのあり方を問われるような厳しい局面もふえていくものと考えております。私は、県財政の健全化のため、これまで公共事業等の縮減でありますとか政策的経費の削減にも取り組んでまいりましたが、私自身はやはり財政の健全化がないと、健全な基盤がないと政策の有効な発動というのは、あるいは適時な発動というのはできないという考えから、財政の健全化を進めてまいっております。そういう中で、今後も厳しい状況が続くと思いますので、国が対処すべきもの、国がやるべきもの、そういうものにつきましては強く要請をしてまいりますし、市町村などと一緒になって対応しなければならないもの、むしろ市町村を支援をするという立場からするものにつきましては、よく連携を図りまして、県民の皆様に状況をよく説明をし、合意形成を図りながら粘り強く進めていく必要があると考えているところであります。  次に、県の財政健全化についての御質問がありました。  私が知事に就任しました平成19年には、毎年度200億円台後半の収支不足、二百数十億円の不足が見込まれておったわけであります。議会、県民の皆様の御理解を得まして、必要な経済対策は実施しつつも、財政健全化に取り組んでまいりまして、平成29年度における収支の均衡に向けまして、おおむね目標に沿って進んできておるというふうに考えております。  しかし、県財政は県税などの自主財源に乏しく、交付税など国からの収入に依存しておりますので、財政基盤は極めて脆弱であるわけであります。そして、一般財源の大半は職員給与費、公債費、社会関係経費などの義務的な経費に充てられており、支出構造は弾力性に乏しいわけでございます。こうした中で地方創生・人口減少対策に取り組みつつ、改革の目的である中長期的に持続可能な財政運営を確保するためには、今後も行政の効率化、スリム化、事務事業の見直し、歳入の確保などの取り組みをさらに進めていく必要があると考えております。  こうした具体的な取り組みにつきましては、経済情勢や国の動向などを引き続きよく注視しながら、毎年度の予算編成作業を通じて実施をしてまいる考えでございます。  次に、山陰道の早期整備についての御質問でございます。  人口減少が特に大きい西部地域においては、産業振興を図って雇用をふやし、住みやすい環境を整えることが大事であります。そのためにも県土の骨格となる山陰道を早くつなぐことが必要であります。県としましては、大田市から江津に至る約7キロの福光浅利間について、今年中には都市計画決定をする予定であります。  先日の県から国への重点要望におきましては、福光浅利間の平成28年度新規事業化を国に強く要望したところであります。このほか、今年4月に益田萩間の山口県境部が優先整備区間に選定をされております。今年度からまた新たに3区間で工事着手が行われております。平成28年度に浜田三隅道路が完成予定でありますし、平成30年度に多伎朝山道路と朝山大田道路が完成予定でございまして、整備は一定のスピードで進捗をしておるというふうに思っております。私どもとしましては、山陰道の一日も早い全線開通に向けまして、国会議員の方々、県議会の皆さん、地元の方々とも全力で取り組んでまいります。  次に、地域医療構想の策定につきましての御質問でございます。  日本全体として見ますと、急激な高齢化の進展によりまして生産年齢人口が減少し、現役世代の負担は増大する一方、75歳以上の高齢者が急増し、医療費は毎年拡大をしております。このままでは2025年には病床数は全国で今の13%増の152万床が必要になるというのが厚労省の試算でございます。  こうした中で、社会保障制度を持続可能なものとするためには、国民負担をふやすか、あるいは医療体制を効率化していくか、大くくりに言いますとこの2つの選択肢のうち、いずれかが必要になるというのが政府の考えだろうと思います。しかし、現状では国民負担をふやすということは大変難しい状況にあるということだろうという判断に基づくものであろうと思いますけども、国は医療介護総合確保推進法によりまして、都道府県が地域医療構想の策定を通じて効率的な医療提供体制を築くよう検討してもらいたいというのが今回の国からの要請でございます。  今回国が示された病床数の推計は、非常に大ざっぱに申し上げますと、軽度の患者の方々、医療行為が急性期の非常に医療の点数が多い患者さんと比べて非常に低い、一般病床では175点未満と、こう言われていますけども、そういう方々は在宅医療に、病院じゃなくて在宅医療に移行していただくということが、療養病床につきましても同じような考えでございますけども、やり方は若干違いますけども、そういう考え方でやりますと、将来の人口推計を今の時点の入院率等を換算してやりますと、大都市部ではふえますけども、島根などでは減ると、減少するという見通しが出されたということでございます。  この数値──試算値でございますね──には厚労省自身も稼働している病床を強制的に削減する権限もなければ、直ちに在宅へ移行させるものではないと。こういうものを前提にしてどういう対応が必要なのか、そういうことを都道府県に検討してもらいたいというのが、今回の国からの試算値の提示であろうということでございます。  そこで、どういう対応を検討しなければならないかということはいろいろあるわけでございまして、これを検討していかなければならないわけであります。この在宅医療は、自宅での在宅医療のほかに、介護施設などで行われる医療も含んでおるわけでございますが、厚労省が示唆しておりますように、在宅医療への移行を進めることにより、医療の効率化を図ろうとするんであれば、例えば介護施設等でのベッドをどういうふうにして確保するのかとか、あるいは介護職員の増加などを図らなければならないわけであります。そのための財源も必要であるわけでございますけども、そういう点にはまだ何も触れられてないわけでございます。  それからまた、在宅医療ということになりますと、過疎地域等におきまして、中山間地域等におきまして、島根全体でそうだろうと思いますけども、医師をどういうふうにして確保するのか、全国でも大都市のほうでどんどん高齢者がふえますから、医師が必要になるわけでありますけども、そういう調整は一体どういうふうにするのかと、それはこれから医療構想を策定する過程でいろんな意見が出てくるだろうから、それを調整をするという考えではなかろうかと思いますけども、国の考えはまだこうするということはないわけでございます。
     いずれにしましても、こうした問題につきましては厚生労働省が十分に検討しまして、そもそも今私が申し上げているようなことを私は私なりに理解して、なるべくわかりやすく説明しているわけでありますけども、新聞だけ見るとそういうことはなかなかわからないわけであります。私どももいろいろ厚労省に問い合わせたりしまして、そういうことがわかっておりますから、今のようなお話をしておるわけでございます。もう少し国民全体にそういうことを説明して理解を求めるといったことが必要でございます。  しかし、医療の地域医療構想というのは県などがつくります医療計画の一部でございますから、これは県として検討しなければならないわけでございますが、これから市町村や医療関係団体など、幅広い関係者の声をよく聞きまして、それぞれの地域の実情に合った医療、介護の体制の構築に向け、きちっとした議論をしながら、地域医療構想の策定を進めていく必要があると、策定というか、どういう問題点があるかということを出していくということは、かなり大きな課題ではないかというふうに思います。  こうした県の検討の中で明らかになります課題等につきましては、国に対してよく伝え、必要な財政措置や地域の実情に応じた柔軟な対応を求めていく考えでございます。  次の質問は、県内における医師確保についてでございます。  県ではこれまで次の3本柱で医師確保対策を進めてきております。1つは、現役のお医者さんを外部からお呼びするということでございまして、赤ひげバンクと称しまして、そうした医師の登録制度を設けてやっておるところでございます。  2つ目は、地域医療を担うお医者さんを育てるということでございまして、そのためには島根大学の医学部等に入ります生徒、学生に対しまして奨学金を供与するとか、あるいは入学試験に際しまして地域枠等を活用するとか、あるいは島根大学に対しまして、あるいは鳥取大学に対しまして寄附講座などを提供するといったこと、あるいは島根で勤務をされるお医者さんを支援するために、しまね地域医療支援センターを設置をしております。また、自治医科大学を通じて医師の育成も行っておるところでございます。  3つ目は、地域勤務の医師を助けるということでございまして、代診医の方々を確保して派遣をするとか、あるいはドクターヘリで患者さんを搬送するとか、あるいはまめネットの導入で情報の共有をするとか、そんなようなことをやっておるわけでございます。  これまでの実績として、島根大学の地域枠や奨学金等の貸与制度により、育ったお医者さんが今年度約140名となりまして、県内に勤務する医師、中でも医師不足地域に勤務する医師が増加するなど、取り組みの成果が一定程度あらわれ始めてきておると考えております。また、高齢化が進展する中で、さまざまな疾病に幅広く対応できる総合診療医は、その必要性が高まっていくため、総合診療医の育成も進めております。  一方で、今後はお医者さんの高齢化や、その後継者の確保が困難となるなど、身近な医療機関であります診療所の存続が懸念されるため、地域の中核的病院による支援体制の構築などの取り組みを支援をしていくということをしております。このようなことをやっておるということでございます。  次に、医療と介護の連携についての御質問であります。  高齢者が住みなれた地域で暮らしていけるよう、医療や介護を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築が重要であります。一方、県内の離島や中山間地域などでは、医療や介護の提供について次のような課題があります。退院後の在宅医療を支える訪問看護ステーションやデイサービスセンターの不足、医療、介護人材の不足、訪問先が、住民の方々は広い地域に住んでおられますから、分散をしておるわけでありまして、交通手段の不足などによりましてサービスの効率的な提供が難しいといった問題があります。システムの構築は市町村が主体となり進めてまいりますけども、地域包括ケアシステムでございますが、市町村が主体となって進めますが、市町村が医療についてのかかわりが比較的少ないため、県の支援が不可欠だと考えております。  県では、今年度から本庁におきまして関係課による連絡会議を設置をして、関係部局の連携をとっておりますが、現在保健所を中心としまして、次のような取り組みを行っております。  1つは、医療や介護のデータ提供、優良事例のノウハウの提供、市町村間の情報共有や連携への支援、雲南、県央、益田3保健所に選任スタッフを配置をしております。今後、医療と介護の連携に向け、県は市町村をバックアップして取り組んでいく考えであります。把握された制度的な課題につきましては、国に対してきちっと伝えていきたいというふうに考えております。  次に、定住対策についての御質問であります。  定住対策の基本は、地域に魅力と活力をつくり、島根に住む人々が誇りを持って安心して暮らせる環境をつくり上げていくことだと考えております。したがいまして、島根に住み続け、ふるさとを支えている県民のことを一番に考えるという議員の主張には私も同感でございます。  その上で言いますと、離島や中山間地域などでは著しい少子高齢化の中で、地域の存続自体が危ぶまれるようなところがあるわけでございます。そういうところでは、むしろその地域のためにUIターンの人たちに来ていただきたいということが大事なわけでございまして、具体的にはUIターン者によって農林漁業や小売、サービス業等の担い手を確保していくということがあります。また、保育所や学校を存続するためには若い人が来られて、一定の子どもさんがその地域で育つということが必要であります。  また、そうした若い世代の方が入ってまいりますと、町の行事だとかで大変活躍をしてくれるわけでございまして、地域の人々にとって大変ありがたいことでございます。また、そうして若者がふえますと、あるいは子どもがふえますと地域が存続できるという明るい将来展望を、もともと住んでいる人たちに与えるものでございまして、県民を第一番に考えなきゃいけませんが、むしろ来てもらうという対策も大変大事なことだというふうに考えておりまして、こうした実態を踏まえまして国や県、市町村が行う定住支援を強化をしておるところでございます。  次に、少子化対策についての御質問であります。  島根県としましてはこれまで結婚から妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援に取り組んできております。結婚支援につきましては未婚、晩婚化が少子化の大きな要因となっておりますことから、特に今年度は結婚支援を強化し、結婚を希望する若者の背中を少し押していこうではないかという取り組みを始めておるわけでございます。  その1つは、結婚支援の拠点の整備でありまして、既に発表しておりますけども、名称としてはしまね縁結びサポートセンターというものをつくります。本部は松江に置きまして、11月ぐらいに開設される予定であります。支所は西部に置きまして、来年1月に開設予定であります。活動の内容は、はっぴぃこーでぃねーたー、はぴこさんなどが男女の出会いの場をつくるとか、広域で男女の組み合わせ、マッチングといいますか、そういうことを図っていこうということ、あるいは市町村や企業が行う婚活支援を支援をしていくと、あるいは県外への情報発信や婚活ツアーなども考えていくということでございます。  2つ目は、はっぴぃこーでぃねーたーの拡充でございます。今、150人ぐらい県内におられますけども、これを100名増員をする予定でございますし、企業の従業員に対してはっぴぃこーでぃねーたーの方々がお世話をしていただくように、企業内にはぴこを配置するということも考えております。  3つ目は、結婚、妊娠、出産に対する若い人たちへの理解と関心を高めるためのいろんな啓発活動を行ってまいりたいと思います。  子ども・子育て支援につきましては、国の制度では対応できない小規模な保育や、市町村が地域ニーズに応じて行う細やかな取り組みを支援してまいります。  そして、仕事と子育ての両立支援につきましては、県は以前から子育てを支援する体制で、こっころカンパニーというのを指定をしております。従業員の方々が子育てをしやすいようないろんな職場の環境を改善されるという企業などを表彰しておりますけども、そういう中で企業の方々が出産の際の支援でありますとか、あるいはその後の子育ての支援、そういうものについていろんな対応をされた場合に、これはイクボスということで、その企業の経営者の方々を表彰するといったようなことを考えておりますし、あるいは男性職員が育児によくかかわっておる、助けておるというような場合には、イクメンというような形で表彰するということも考えておるところでございます。現在の取り組みの状況でございます。  それから、次の質問は、県立大学松江キャンパスについての質問であります。  昨年来、県立大学松江キャンパスのあり方を検討してきましたが、各界の皆さんからの意見を聞くために設置しました有識者懇談会では、1つは3学科全てを4年制大学化することが必要だと、2番目に、短大ニーズに対する一定の配慮が必要といった内容の報告をいただきました。また、議会や関係者の方々からも御意見はお伺いをしたところでございます。  次に、どういう考え方で松江キャンパスのあり方を検討するのかと、基本的な考え方でございますが、次の2つでございます。1つは、県内の子どもたちの希望をいかに受けとめるかということ、そういう視点でございます。2番目は、島根の将来を担う人材を県内でしっかりと育てるという2点であります。その上で、高校生の大学進学志望がふえていること、あるいは栄養、保育の分野におきましては、より専門的で幅広い知識、技術を有する資格を持った人が求められていることから、3学科全てを4年制大学化するというふうな考えでまとまったわけでございます。  さらに、依然として高校生の短大への進学希望があること、企業等で短大生の採用意向があること、そういうことを踏まえまして、保育学科、総合文化学科につきましては、短期大学として残すこととし、現在その詳細を検討しているところであります。近いうちに取りまとめたいと考えているところでございます。  次に、中小企業の競争力強化のための支援についての御質問であります。  県ではこれまでに4つぐらいの分野で支援をしております。第1に、制度融資や信用保証協会を通じた信用保証による支援であります。第2に、産業振興財団や商工団体による経営計画の策定支援、専門家の派遣、国内外での市場開拓への支援をやっております。第3に、物づくり産業への設備投資や研究開発への助成、第4に、特殊鋼関連産業や石州瓦など、地域的に一定の集積がある産業への支援など、経営、技術、販売の面からさまざまな支援を実施をしております。  今年度は新たに次のような支援を行う、追加する考えでございます。1つは、県内全域に広がる食品製造業に対しまして、製造、販売などの総合支援を行うこととしております。2番目に、中山間地域の製造業に対しまして、市町村と連携した設備投資への支援を行うこととしております。3番目に、地域資源を生かしたヘルスケアビジネス創出への支援を行う予定であります。4番目に、小売商業者等への事業承継に向けた支援などを実施をしてまいります。  次に、新規学卒者等の人材確保についての御質問であります。  これまでの対策としましては3つあります。インターンシップ等を通じて、高校生が企業で働くということは一体どういうものであるかなどにつきまして、理解が進むようにしております。2番目に、就職面接のための会合の開催や、インターンシップを通じて大学生等と県内企業とマッチングを図ることとしております。第3に、産業人材育成コーディネーターの配置による教育機関と企業との連携を強化をしてきているところでございます。こうした事業は経済団体、関係機関と連携して実施をしてきているところであります。  今年度からは3点の施策の追加を考えております。1つは、高校生、大学生等のインターンシップに対する助成を行うということでございます。第2に、県内企業の魅力や情報を多くの高校生、大学生等に伝えるしまね就活情報サイトの機能を拡充をしてまいります。第3に、企業が取り組む職場環境の整備や福利厚生の充実等に対する支援を行うこととしております。  今後、これらに加えまして、県外の大学、専門学校に対しまして県内就職への協力について働きかけることなど、対策を充実させていく考えであります。  次は、若者の職場定着をどのようにするのかという質問であります。  これまでの対策としましては、次の3点の事業を実施しております。1つは、内定時、入社直後、入社半年後の3段階で社員教育研修を各地域で開催をしております。第2に、中堅社員を対象に、部下の能力を発揮させるための研修を開催しております。第3に、経営者や幹部を対象に、人材育成の大切さを学ぶ人財塾や企業の魅力化セミナーを実施をしております。  また、昨年度はしまねいきいき雇用賞を創設をしました。この賞は、ある企業が魅力のある職場づくりを行っているといったような場合に、それをモデル的事業として表彰すると、それによって普及啓発をするということでそういう雇用賞もつくっております。  今年度からは次の2点を行ってまいります。1つは、各地域で入社二、三年目の社員研修を追加して開催をします。第2に、人材育成、職場定着に向けた企業のプランづくりに対して、専門家を派遣する支援を行ってまいります。今後とも企業、商工団体、市町村などと一緒に対策を充実をさせていく考えであります。  次に、基幹産業である農林水産業の振興についての御質問であります。  県では農林水産業それぞれ基本的な方向を定めまして、支援を行っておるところであります。農業では新規就農者、集落営農の育成、確保や農地集積による担い手の経営基盤の強化を行っております。2番目に、JAしまねと連携した水田農業の展開や、しまね和牛の生産基盤の強化を行っております。中でも、3番目でございますけども、昨年の米価下落を受けた米づくりへの支援の強化なども行ってきておるところでございます。  林業につきましては、循環型林業を本格軌道に乗せるため、1番目に、原木増産や木質バイオマスの安定供給、2番目に付加価値の高い製品づくりと木材製品の県外への販路拡大、3番目に主伐に伴い増加する伐採跡地での再植林などを行っておるところであります。  水産業では、第1に漁業経営の安定化に向けた漁業の構造改善やもうかる漁業の推進、第2に沿岸漁業の所得向上による漁村活力の再生、3番目に適切な管理による水産資源の維持培養などを行っておるところでございます。こうした施策を推進していくため、引き続き関係機関、団体等と連携しながら、具体的なプロジェクトを立ち上げていく考えであります。  最後の質問に対する答弁でありますが、島根原発1号機への対応についてであります。  中国電力は、原子力規制委員会へ廃止措置計画の認可申請をしようとする際には、県及び松江市の事前了解を得ることが必要となっております。その手続につきましては、次のようにいわゆる2段階で行う考えであります。  第1に、初めに中国電力から廃止措置計画の内容について説明を受け、申請をすることのみ了解をするということであります。そして、2番目に原子力規制委員会が審査をいたします。審査が終了した段階で、その審査結果を原子力規制委員会等からよく説明を受けた上で、県議会を始め県安全対策協議会、原子力安全顧問、そして松江市及び周辺自治体などの意見を聞きまして、最終的な了解をするかどうか、県が総合的に判断をして、議会にも説明をして御理解を得るというふうに考えております。  この廃炉につきましては長い期間がかかるわけでございまして、長い廃止措置期間中には工程が具体化をしていくわけであります。最初の申請のときには一部の工程しかまだ確定していませんから、申請書にないわけでありまして、時が経るにつれて新たな工程が具体化しますから、あるいは見直しもあると思います。そうした計画の変更が行われる際には、その都度原子力規制委員会への変更認可申請が行われますので、県としましてはそうした重要な計画変更についても、先ほど来申し上げておりますように、2段階の了解の手続をとっていく考えであります。  この点につきましては、今後松江市や周辺自治体、中国電力と協議、調整の上、最終確定をしますが、県としての考えはそういうことでございます。以上であります。 5: ◯議長絲原徳康) 坂本農林水産部長。  〔坂本農林水産部長登壇〕 6: ◯農林水産部長坂本延久) 私からは、農林漁業の担い手の育成、確保の強化についてお答え申し上げます。  県では平成24年度から今年度までの4年間に、農林漁業の新規就業者を1,000人創出することを目標に、担い手の確保対策を展開しております。具体的には次のような施策を実施しております。  1つは、就業相談会やセミナーの開催、産業体験などの実施でございます。あるいは専門的な技術研修や就業者に対する研修費の支援を実施しております。また、就業のための資金の助成や貸し付け、施設整備等への支援も行っております。この結果、平成26年度までの3年間で780人余が新たに農林漁業に就業しております。  今後の取り組みでございますけれども、さらに農業につきましては、就農と生活に関する情報をパッケージにして人材募集を行ったり、あるいは体験ツアーを充実するなど、都会からの人材確保対策を強化してまいります。  林業につきましては、最近原木の増産や木質バイオマスの安定供給などに伴いまして、雇用が創出されております。これに対応した就業相談体制の強化を図ってまいりたいと思います。  漁業につきましては、水産高校と連携して体験学習を実施するなど、高校生の地元定着を促進してまいりたいと考えております。  こうした取り組みによりまして、島根県の農林水産業の持続的な発展に向けまして、担い手の育成、確保を着実に進めてまいりたいと考えております。以上でございます。 7: ◯議長絲原徳康) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 8: ◯教育長藤原孝行) 島根の教育の充実をどのように図っていくのかについてお答えします。  未来を担う子どもたちに学力や豊かな心を育成していくため、第2期しまね教育ビジョン21に基づいて、次のことに取り組んでいます。  1つは、知識、技能、思考力、判断力などの学んだ力とともに、主体的に学ぼうとしたり向上しようとしたりする学ぶ力の育成を図っています。2つ目には、地域社会の人、物、事などの教育資源を積極的に活用し、地域に貢献しようとする意欲を育むふるさと教育を推進しています。そして、3つ目には、命を大切にする心や他人を思いやる心などを育む道徳教育を推進しています。こうした教育を就学前から高等学校段階まで、一貫した方針のもとで進めていきたいと考えています。  また、子どもたちが生きるために必要な力を身につけるためには、学校と地域、家庭が連携協力をさらに強めることが大切であり、こうした取り組みは地域の活性化にもつながっています。例えば、学校と公民館などが連携して地域の特産品や加工品を開発、供給したり、地域資源を活用した食育に取り組んだり、歴史、伝統文化の継承を図るなどの取り組みが行われており、地域が元気になる取り組みになっています。  今後も地域が今まで以上に学校とかかわることによって、地域全体で子どもを育てるという意識を高め、地域の教育力と活力をともに高めるような取り組みを進めていきたいと考えています。 9: ◯議長絲原徳康) それでは、この際しばらく休憩し、午後1時から再開をいたします。        午前11時43分休憩        午後1時2分再開 10: ◯議長絲原徳康) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて代表質問を行います。  民主県民クラブ代表和田議員。  〔和田章一郎議員登壇、拍手〕 11: ◯和田章一郎議員 民主県民クラブの和田章一郎でございます。会派を代表して質問をいたします。  わずか5カ月間ではございましたが、県議を辞すという波乱含みの経験をさせていただきました。したがって、この場で立ちますと、何かしら新鮮な気持ちがするところでございます。虚心坦懐の心づもりで初心に返っての質問をいたします。知事を始め執行部の皆様方のきちっとした答弁、とりわけ午前中の答弁を聞いていると、いま一つ知事の本心が見えない、相変わらず国、市町村の意見を聞く、こういうことではなくて、知事の主体的な意見を聞きたいと思っておりますので、冒頭よろしくお願いを申し上げます。  初めに、今国会で審議されております安全保障関連法案について質問をいたします。  この国が大きく変容してしまうおそれのある極めて重大な歴史の転換点にあると考えますので、知事並びに教育長の所見をお伺いをいたします。  ことしは、350万人の日本人と2,000万人に及ぶアジア諸国の人々の命が犠牲となった太平洋戦争が日本の敗戦によって終結して70年を迎えます。70年前といえば、この議場でもお生まれになっていたのは最長老の浅野議員を始め溝口知事、まあ10人に満たない数でございまして、大半は戦争を知らない戦後生まれの皆さん方でございます。戦争の悲惨さ、残酷さ、無慈悲さ、不条理さ、いわば人間を狂気の空間に引きずり込む世界を肌身に感じたことのない国民が大多数になったという状況が、今日の日本の現実であります。こんな時代状況が、今国会における拙速な安保法案論議を許しているのでしょうか。それにしても国会論戦における政府の詭弁に満ちた一連の答弁、余りにもひど過ぎる状況と言わざるを得ません。  初めに、戦後70年談話についてであります。  安倍首相は、あの東条内閣閣僚で開戦詔書にもサインをした祖父の岸元首相の膝の上でお育ちになったからか、村山、河野と続いた太平洋戦争の謙虚な反省とは異なった談話になるのではと心配をされています。安倍首相は、以前からの自虐史観は相入れぬという観点から、これまでの政府談話を否定的に捉えていましたが、一国の首相の立場と個人的な考えは区別されなければならないと考えます。私たち日本人が原爆の惨禍を忘れないのと同様に、じゅうりんされ、殺りくされた、とりわけアジアの人々にとっては、100年足らずの時間空間では、その記憶は生々しく残っていると考えるからであります。引き続き国としての心からの誠意ある反省が表明され続けなければならないと考えます。同じ敗戦国ドイツは、戦争責任を全面的に認め、徹底して謝罪し続けるからこそ、周辺諸国からの信頼をかち得ていると言われております。  私は、今回の談話がこれまでの政府見解と異なってはならず、戦後50年の村山富市談話から続くアジア諸国への反省とおわびを継承すべきと考えますが、国際経験豊かな知事のお考えをお聞きをいたします。  安全保障法案は、集団的自衛権の行使の問題等、国の根幹を揺るがす極めて重要な問題であるにもかかわらず、今国会で強行採決も辞さずという随分乱暴な運営が行われようとしています。戦後の日本が歩んできた専守防衛という基本路線を大きく変容させ、他国との戦争に巻き込まれるおそれのある法律が制定されようとしているのであります。安倍首相はなぜそんなに急ぐ必要があるのでしょうか。そもそも国会で審議する前の段階でのアメリカでの本法律制定の約束など、とんでもない国会軽視、主権者国民に対する侮辱行為と言わざるを得ません。  第1次安倍内閣時代、美しい国づくりのための戦後レジームからの脱却と持論を展開したため、歴史修正主義者とレッテルを張られたことの裏返しなのでしょうか。余りに露骨なアメリカへのすり寄りの姿ではありませんか。戦後の歴代の自民党政権下の日本政府は、立憲独立国家としての威厳と国民の安寧を第一とする良心に基づき、国益を死守するといった気概を感じました。しかし、後でも述べるTPP交渉もしかり、今の安倍政権にはそのかけらも見えないと断じざるを得ません。日本がアメリカの属国になってしまうのではと危機感を覚えます。10年後、20年後のこの国が、この島根の行方が案じられてならないのであります。  知事として国民の理解が進んでいない、また反対意見の多い重要な法案が、まさかとは思いますが、今国会において強行採決されるとも報道されていますけども、このことについていかにお考えか、お聞きをしたいのであります。  安倍首相は、来年の参議院選挙に勝利し、悲願の憲法改正をもくろんでいるようであります。しかし、自民党の憲法改正案では、国民主権が国家主権へと大きくさま変わりする中身となっているようですが、立憲主義の基本をないがしろにする改悪は断じて許してはならないと考えております。  また、ここに来ての安倍首相の越えてはならない一線を越えた発言、つまり時の政権によって憲法の解釈を変更できる、それが責任ある政治だなどという本音とも言えるファッショ的な暴言は看過できるものではありません。  近代立憲主義とは、そもそも憲法は時の政権の権力乱用を制限するためにつくられた法規範であると理解をいたします。知事のお考えをお聞きをいたします。  このたびの安全保障関連法案の名称に、あえて頭に平和がついていることに違和感を持つのは私だけなのでしょうか。国民に対する目くらましに映りますし、こそく感は拭えません。  一番に心配と不安を抱いておられるのは自衛官の家族の皆さんでありましょう。自衛隊員のリスクが高くなるかどうかが論議をされました。誰が考えても活動範囲が限りなく戦場近くに拡大されるわけでありますから、リスクが高まるのは当たり前のことでございます。子どもでもわかる理屈であります。しかし、高くなるリスクを素直に認めようともせぬ答弁には、国民の多くは聞くに耐えられぬ醜態に映ったことでありましょう。  政府は、今月5日の閣議で、この間のインド洋の洋上給油やイラクでの人道復興支援で、海外派遣された経験のある自衛隊員のうち56人が自殺したと初めて認めました。リスクが高いからこそ自殺者の割合が異常に高いのは明白であります。自衛隊の皆様の国を守るという崇高なお気持ちを決して否定するものではありません。私だって理不尽に日本が侵攻されるようなことがあれば、この身を捨ててでも立ち向かう覚悟はできております。しかし、他国にまで出向いて命を落とす正義と大義名分があろうはずはありません。あの太平洋戦争で亡くなられた大多数の方々は、まさに国の正義と大義名分の名のもとの犠牲者なのではありませんか。私たちは二度と同じ過ちを犯してはならないのであります。  天皇が足しげく訪問される沖縄、戦後70年のことし、パラオ、ペリリュー島、東京都慰霊堂を訪問された意味をかみしめたいものであります。二度と戦火に巻き込まれることのない平和な国、日本であり続けなければならないと強く思います。  ところで、今月10日の参議院本会議で、背広組が制服組をコントロールする文官統制を全廃する改正防衛省設置法が可決成立をいたしました。旧憲法下で軍部が暴走し、太平洋戦争の惨禍をもたらした反省から、政治が軍事に優先するという民主主義国家の基本原則である文民統制、その一角がたやすく葬られたわけであります。  シビリアンコントロールの一角が崩された今回の法改正、知事はどのような感想をお持ちなのか、お聞きをいたします。  ここに来て安全保障関連法案の合憲性をめぐっての攻防が激しくなっております。憲法審査会において、自民党推薦の憲法学者を含め3名全員が違憲と表明したものでございますから、政府も大慌ての様相でございます。高村副総裁の砂川判決を持ち出しての苦し紛れの反論には、いささかあきれてしまいますが、まさにへ理屈とも言える主張は、政権党トップの一人としての言動とはとても思われません。そもそも砂川事件の最高裁判決は、後にアメリカの公文書で判明しているように、最高裁長官が判決前にアメリカ側と接触した後であり、極めていかがわしい代物であります。与党公明党の反対で一時は引っ込められた論拠ですが、苦し紛れに再び持ち出したようであります。  いずれにいたしましても、前後の文脈を無視して自分たちに都合がいいように解釈して主張を通すなどとは、子どもの世界ではよくあることでありまして、学校では先生が物の道理を諭し、誰もが納得するように導くものでございますけども、今の国会は傍若無人がまかり通る世界のようであります。さすがに元自民党重鎮の方々が、ここに来て苦言を表明される事態となっているようであります。  教育長にお聞きします。  国があれほど熱を入れて指導をしております道徳教育に影響が出るとはお思いになりませんか。へ理屈が通るようでは道徳の道に反すると考えますが、教育長いかがでしょうか。  それにしても、日本という国のありようを大転換させる重大法案の審議において明確になったのは、安倍首相は異論に耳を傾けようとしないどころか、異論を持つ人を説得する意思さえ持ち合わせていないということであります。このような異常とも言える状況に知事はどのような感想をお持ちなのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。  改めてお願いします。以上の質問については、国の問題とは逃げずに答えていただきたいのです。なぜなら、県民の最も根源的な将来にわたっての命と生活がかかわる大問題であるからであります。率直で真摯な答弁を重ねて求めるものでございます。  次に、地方創生と今後の地方財政についてであります。
     地方創生という新造語を聞き、我が島根県輩出の竹下総理大臣が創設したふるさと創生資金を懐かしく思い起こしました。それにしても四半世紀が過ぎると、同じことの繰り返しになるのではと心配はされないのでありましょうか。当時、1自治体一律1億円が数年にわたってばらまかれた結果、多くの自治体は競って温泉を掘るなど、ふつり合いな箱物建設をしたあげくに、ふるさと創生どころか、今も維持費に四苦八苦している現状があるのではないでしょうか。  知事は、今期初の全員協議会において、国が地方を大事にする方向に変わったと歓迎されている発言をされておりますが、本気でそう思っておられるとしたら、私は心配でございます。この事業が唐突に浮上してきた経過を振り返っていただきたいのであります。2年半前に安倍総理、意気揚々とアベノミクス効果を全国津々浦々まで届けると言っていたにもかかわらず、全くもって地方の景気はよくなった実感がないと、地方からの大きな怨嗟の声が上がったものでありますから、急ごしらえに組み立てられたものではないでしょうか。それも田舎畳みのシナリオでもあるのでしょうか。  増田大臣に地方消滅論をぶち上げさせ、このままで推移すれば将来消滅する自治体が出現すると、名前まで列挙してセンセーショナルに危機感をあおったのであります。名前を挙げられた自治体は迷惑千万な話であります。先読みする親であるならば、戦後の高度経済成長期がそうであったように、我が子に対してこの先消滅してしまうような田舎からは出たほうがよいよと言ってしまうでありましょう。冗談ではありません。全国の地方の自治体は厳しい状況であるからこそ、必死で定住対策などの努力を頑張っているではないでしょうか。島根県はその先頭を走り、全国に先駆けて中山間地域研究センターも設けて努力しているではないですか。当研究所の藤山氏も一方的な増田レポートに疑問を投げかけています。  ところが、政府は昨年12月、2060年に1億人程度の人口維持を掲げ、今後5年間に行う人口減対策と地方活性化策を柱とした総合戦略を閣議決定し、この方針のもとに地方版総合戦略づくりを策定せよと、極めて中央集権的に指示をしております。旗印にするのが、出生率が限りなく1に近い東京一極集中を是正していくとのことであります。東京一極集中を本気で是正するというなら、強力な政策誘導、例えば国の機関の分散とか、思い切った分権、あるいは抜本的な税制による企業の本社機能の地方への移転等々、地方の努力では及ばない国の努力こそ今求められているのではないでしょうか。地方の疲弊は、地方の努力と知恵が足りなかったかのような政府の上から目線を感じてなりません。  政府が言うように、まさに東京一極集中が日本の人口減の元凶の一つでもあります。そうであるならば、国の施策の抜本的な転換を図ることこそが問われていると考えます。知事、いかがでございましょうか。  ところで、出生率の低下に大きく影響しているのが未婚者の増加であると言われております。50歳まで結婚の経験のない人の割合を示す生涯未婚率のこの30年間の男性の推移を見ると、実に8倍もの異常な増加なのであります。なぜこんな状況になり、そして政治的に放置されてきたのか。言わずと知れた新自由主義経済手法に伴う非正規労働者の拡大、ワーキングプアと言われる年収200万円以下の若い人たちの増大であります。  ある調査によりますと、年収300万円を境に結婚の壁が存在すると言われております。女性の40%が収入を結婚相手に求めている現状の反映が、特に男性の生涯未婚率の異常な上昇につながっているのは確実であります。このような状況にもかかわらず、政府は今国会において労働者保護ルールを改悪し、派遣労働者をいつまでも継続できるなどという、格差の拡大と雇用の劣化をさらに推進させようとしております。政府は人口増加政策というアクセルを踏みながら、雇用劣化のブレーキを同時にかけるという、極めて矛盾に満ちた愚策を行おうとしているように見えます。  知事に伺います。  こうした政府の矛盾した政策下で、真の地方創生施策が展開できると本気でお考えでしょうか、お聞きをするところであります。  5月18日、石破担当大臣が福岡市で開催された講演で、看過できない発言をしております。紹介いたします。今回失敗したらこの国は終わり、本気で取り組まない自治体には財政、情報、人材の支援はしないと述べて、今年度中の地方版総合戦略への取り組みを求めたまではよしとしましょう。続いて石破担当大臣は、目標が達成できなくても誰も責任をとらないようなものは計画ではないと、偉そうに指摘したのであります。まるで今日の地方の疲弊は、地方の努力と知恵が足りなかったからとでも言いたげな発言ではありませんか。とても地方出身の、それも隣の県、鳥取県選出国会議員の言葉とは思えないのであります。冗談にも、そこまで地方をこけにした物の言い方が許されてよいはずはありません。戦後の経済成長を目指した国策の結果が都市と地方の格差を広げ、過疎過密現象を引き起こしたのではありませんか。  石破大臣にそこまで言われて、目標が達成できなかったときの責任はほかの誰でもなく、島根県の場合は知事に責任が向けられると考えられますが、知事はどう責任をとる覚悟を持って計画づくりを行おうとされているのか、お聞きをいたします。  本事業は既に14年度補正予算で4,200億円、そのうち地方創生先行型は1,700億円の予算が計上されていますが、来年度以降も確保されるとお考えでしょうか。私はとてもではございませんが、別枠確保できるとは到底考えられません。せいぜい各省庁の補助事業を寄せ集めてつくろう程度のものとしか考えられませんが、いかがでございましょうか。  ここで今年度予算に反映された昨年度の国の地方財政計画をめぐる議論を見ますと、来年度以降の厳しさがうかがい知れます。つまり、2012年8月に民主党政権時代に閣議決定された中期財政フレーム、これは現政権でも引き継がれておりますけども、最終年度となる本年度までは平成25年度地方財政計画の水準を下回らないよう、同水準を確保するとされているからであります。逆に言えば、来年度からは中期フレームの枠から外れますので、さらなる地財計画の歳出総額の削減が強く求められるものと考えられます。  2020年度のプライマリーバランスの黒字化が実質的に国際公約となっている以上は、歳出圧力は今後ともますます厳しくなるものと予想されます。事実、ことしの5月に開催された政府の経済財政諮問会議の論議と資料によれば、とりわけ民間側委員提出の資料を見る限り、島根県のような地方にとっては背筋が寒くなるような論点が並べられています。  第1に、これは後からも述べますが、医療費などの社会保障費の大幅な削減圧力であります。第2の社会資本整備については、東京オリンピック需要や復興需要などを踏まえ、優先度の低い公共事業の実施は、2020年度以降とすべきと言っているのであります。彼らの言う投資効率の低い地方の公共事業、例えば山陰自動車道の整備などが狙われる危険が非常に大きいと心配をいたします。  第3に、地方の行財政改革と地方創生について厳しく指摘をしています。その論点は、1人当たりの一般財源額を比較して、交付税の財源保障機能が税収偏在を補正する以上に、過度に強くきいているとしながら、行政コストを検証し、リーマン・ショック後の歳入歳出の特例措置を早期に解消すべきとしています。  そして、歳出面からは、インセンティブ改革、公共サービスの産業化等を徹底して推進し、頑張る自治体、努力した自治体に交付税の配分を強化するなど、交付税のあり方を抜本的に見直し、地方の自助努力を支援すべきとしております。こうした経済財政諮問会議における論点は、来年度に向けた地方財政計画に大きく反映してくるものでありまして、地財計画によって交付税額が決まっていくことを考えれば、地方は安閑としていられない状況であると非常に心配をしております。  諮問会議に示された資料によれば、島根県は1人当たりの地方交付税額は断トツに1番でありますから、しっかりとした理論武装と地方が団結した力を発揮しなければならないと強く考えます。知事の所見を伺います。  増田レポートの中で、地方の人口流出をせきとめるため、ダムの機能を担う地域拠点都市を整備し、そこに人口を集積させ、効率的な地域経営をさせようと言っています。これは私は地方版一極集中という新自由主義的手法だと考えます。島根県で言えば松江を中心にした宍道湖・中海圏域がイメージされるわけでありますが、私はこのような考えは基本的に間違っていると考えます。増田レポートで述べられた選択と集中の考え方で生まれた地域拠点都市について、知事はどのように考えていらっしゃるのか、この際お考えをお聞きをいたします。  ところで、安倍政権が誕生し、アベノミクスがスタートして以来、地方の経済は本当に疲弊し続けています。過度な政策的円安誘導は、輸入原材料の割高を招き、経費の増大が中小企業の経営を圧迫させているのであります。例を挙げます。大田市のかまぼこの原材料は輸入されるスケソウダラでありますが、単純に円安を計算すれば、この間に3割強も経費が高くつくわけであります。価格に転嫁すれば売れ行きが悪くなりますから、価格は簡単には上げられず、結果経営は厳しさを増しているのです。おおむね県内の中小企業の状況はこのようなものではないでしょうか。  さらに、地域経済を圧迫しているのは、この2年間の実質賃金の下落と年金の切り下げ、さらには消費税の値上げなどによる需要の低下ではないでしょうか。地域経済の8割が個人消費で支えられているわけでありますから、地域の実体経済が活性化するわけはありません。むしろ壊れていく危険性すら感じます。  知事に伺います。  過度な円安政策は地方にとってデメリットが大きいと考えますが、いかがでしょう。また、アベノミクスを即刻やめることこそ、地方創生の道と考えますが、いかがでございましょうか。  次に、島根原発の再稼働の問題について質問をいたします。  今月6日、島大キャンパスにおいて山陰研究センター講演会があり、中国電力島根原発に関する松江市民対象の意識調査の報告がございました。報告では、原発事故時の広域避難計画の存在自体は大半の市民が認知しているものの、避難ルートを知らない人が大半だったようであります。また、7割の市民が、住民避難は計画どおりスムーズにはできないだろうと答えているのであります。それでなくても交通弱者と言われる要支援高齢者や障がい者の避難計画は、絵そらごとにすぎないのではと私も常々疑問を感じていたのでありますが、こうした結果、島根原発の存在に不安を感じる市民が6割を超えている現状が理解をできます。  避難計画が十分に住民に周知されたとは言い切れない結果を踏まえて、知事の所見を伺います。  福島原発事故は想定外の原因で起こりました。神のごとく絶対に安全だという慢心から引き起こされた悲劇は、今なお10万人余りもの福島県民が生まれ育ったふるさとへ帰還できないでいるのであります。今回の報告では、市民の半数以上が再稼働の是非を住民投票で判断すべきとの結果であります。知事は、2号機の最終的な事前了解については、県議会を始め県安全対策協議会、原子力安全顧問、松江市や周辺自治体及び鳥取県からの意見を聞いて、県としての総合的な判断をすることが必要と常々言っていらっしゃいます。つまりは、事故が起こったときに被害を受けるおそれのある住民の生の意見を、知事には正面から受けとめようとする姿勢が見えないのであります。私は、何でもかんでも選挙や住民投票で民意を問うという橋下市長のような手法には反対でありますが、県民の心配が極めて大きい原発再稼働の是非については、民意にしっかりと寄り添う姿勢が大切であると考えます。  30キロ圏域に40万人もの住民が生活しているという極めて特異な条件の備わる島根原発であります。慎重に期した対応が求められていると考えます。その上で最終的な判断について、謙虚に原発立地の住民の声をお聞きする考えはないのか、改めてお聞きをいたします。  原子力防災対策については、県は防災部を設置し、職員の涙ぐましい努力を重ねて今日まで頑張ってきておられ、敬意と感謝を申し上げるところでございます。しかし、原子力防災対策は国際原子力機構の基準に沿って対応している欧米諸国のように、本来は国の全責任において実施されるべきものであります。なぜいまだに日本は国際基準に沿った体制にしようとしないのか、不思議でなりません。史上類を見ないあれだけの大事故を起こした後になってもであります。  原子力事故は、福島がそうであったように、まさに想定外を想定しなければならないのであります。幾ら対策を積み上げてもパニックが起こらない保障はないと確信しますが、それだけに一自治体の責任ではいけないのであります。県は国に対する重点要望において、毎年のように人件費等の財政的な支援を要望されているわけでございますけども、本来はおかしな話でございます。原発立地は国策でありますから、国が全責任を持って抜本的な対策を行うべきが筋であると私は考えます。  重点要望の最初にそのことを強力に訴えるべきと私は考えますが、知事いかがでございましょうか。  次に、昨年6月に地域医療介護総合確保推進法が制定され1年がたちました。平和安全保障関連法案と同じで、総合確保などと法律の名前はまことに見事であります。しかし、要はいかにサービスを切り下げて自己負担を上げることによって費用を抑制させていくのか、そのための法律にほかなりません。介護保険においては、この4月からは特養への新規入所要件を原則要介護3以上への厳格化や、この8月からは介護保険の自己負担のアップが始まります。  地域医療については、つい1週間前に出された厚労省発表には、驚きと怒りを超えてあっけにとられてしまいました。医療費の抑制のために、国は病床数の削減目標を地域医療構想として県に策定させることが発表されました。この削減目標は国が決めた全国一律の算定方式で計算しないといけないと聞いております。島根県の病床数を団塊世代、私がそうでございますが、75歳を迎える2025年に向けて、いきなり9,200床を6,400床という3割を超える削減を迫っているのであります。団塊の世代を狙い撃ちし、世代間対立をあおるつもりなのでありましょうか。  病床数の削減は強制されるものではないと国は言っていますが、国による診療報酬の改定や財政支援によって誘導される可能性は極めて大きいわけでありまして、県民にとっては非常に大変大きな問題であると考えます。近ごろの国のやり方は安全保障法案しかり、地方創生もそうですが、国民の声や地方の実態、事情を余りにも配慮せずに一方的に過ぎるのではと憂慮いたします。  病床を減らし在宅医療へ移行するにも、地理的条件や人材不足等のさまざまな課題を抱える島根県として、このような国の進め方についてどのように考え、今後どう対処しようとしているのか伺います。  また、国は病床数を減らしても医療の質は落とさないとのことでございますが、介護難民がふえて命を落とす人がふえるという問題をどう解決するというのでありましょうか。在宅医療や在宅介護を担う人材をどう確保しようと考えていらっしゃるのでありましょうか。ボランティアやNPO等の活用を期待した地域包括ケアシステムが構築されれば、事足りるとでも考えているのでありましょうか。机上の論理と都会の都合だけで進めているとしか考えられません。  現在の病床数を前提にしての地域包括ケアシステムの構築でさえ、各自治体は四苦八苦しながら作業を進めている状況にあるのではないでしょうか。島根県では人口は減少するものの高齢化は高どまりし、入院を必要とする人数は余り変わらないと聞きます。入院患者にとって心配なのは、退院してもひとり暮らしの場合はどうなのかといった問題など、あるいは在宅医療といっても訪問医療や看護は大丈夫なのかといった課題が山積していると考えます。  希望しても病院や施設に入れないことになるわけでありますから、在宅でも安心できる24時間の巡回サービスや往診、訪問看護などを整えた地域包括ケアシステムの構築が求められますが、その状況についてお聞きをいたします。  最後に、島根県の農林水産業の将来に深刻な影響を与えるおそれのある、今月下旬にも交渉参加12カ国の閣僚会議が開かれ、大筋合意に達するのではと心配されている環太平洋連携協定、いわゆるTPPについて所見を伺います。  TPPについては、当初から将来にわたっての日本の国益が守れるのかといった極めて重要な問題を抱えているため、慎重に交渉は続けられてきたところであります。しかし、日本が誇る国民皆保険制度が外資保険に狙われ、食の安全・安心の輸入基準が引き下げられ、国の主権を損なうようなISD条項を押しつけられるなどといった内容のTPPであるにもかかわらず、今国民は全く蚊帳の外に置かれた状態にあります。このところ全く交渉の中身が伝えられずに、最終局面をアメリカの都合だけで迎えようとしているという極めて異常な状況になっているのであります。米など重要5品目の関税維持を求めた国会決議、12年の衆議院選挙時の自民党の公約などは、この段階ではどこへ吹っ飛んでいったのでありましょうか。  こうした動きに危機感を持ち、先般はJAしまね、JFしまね、県医師会、県建設業協会、県市長会など県内91団体で構成するTPP参加に反対し食とくらしを守るネットワーク島根が、政府は国会決議が守れないなら速やかに交渉を離脱すべきと気勢を上げられたようであります。  食料は独立国家にとってはまさに戦略物資であります。衣食住を除きほかに何がなくても人間は生きられると習いましたが、とりわけ安心・安全な食料は人間にとって必須であると私は考えます。私たちは将来にわたって確実に食料が輸入できるという保障はないのでありまして、そんなことを勘違いしてはならないのではないでしょうか。一定の食料の自給基盤の確保は、国家としてとるべき最低限の必要条件であると確信しています。さきに述べた経済財政諮問会議の委員か政府の高官の誰かが、中山間の農地はもともとが山を開墾したものなのだから、中山間の非効率な農地は山に戻せばいいなどという発言には私は怒りさえ覚えます。  知事に伺います。  県内の主団体が反対しているTPP交渉についてどう考えていらっしゃるのか、この際反対の意見ぐらいしっかり表明すべきだと私は考えておりますけども、知事のお考えをお聞きをするところでございます。  大分時間が余りましたが、冒頭申し上げましたように、知事の主体的な意見を期待をしております。ぜひ私の心に響くような答弁をしていただきますことを心よりお願い申し上げまして、私の会派を代表しての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 12: ◯議長絲原徳康) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 13: ◯知事溝口善兵衛) 和田議員の御質問にお答えをいたします。  最初の私への質問は、村山談話の継承についてであります。  安倍総理は国会の答弁で次のように述べられておられます。戦後50年の村山談話を含め、過去の歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいくと。また、戦後70年の談話はそれを前提として作成をすると。そして、今後日本としてアジア太平洋地域や世界のために、さらにどのような貢献を果たしていくべきか、次の80年、90年、100年に向けて日本はどのような国になることを目指しているのかといった点について、世界に発信できるようなものを英知を結集して考えるとされております。政府におかれまして十分に検討され、アジア諸国を始め国際社会に評価されるような談話になることを期待いたしております。  次に、安全保障法案の国会審議についての質問であります。  この法案につきましては、衆議院におきまして特別委員会が設けられ、審議が進められております。集団的自衛権の行使を含む安全保障関連法案につきましては、各種の世論調査を見ますと、十分に国民の理解が得られているとは必ずしも言えない状況ではないかと思います。国会におきまして十分審議を尽くされ、指摘されているような論点、課題について議論が重ねられることを期待しております。  次に、立憲主義における憲法についての御質問であります。  調べましたところ、岩波書店の発行で、初版が1993年でございますけども、「憲法」という芦部信喜様が、憲法学者でありますけれども、書かれた本の第4版、2007年版を見ますと、立憲主義における憲法とは、国家権力を制限して国民の権利、自由を守ることを目的とするとされております。  次に、防衛省設置法改正によるシビリアンコントロールへの影響についての御質問であります。  御質問の防衛省設置法の改正は、防衛省と自衛隊における大臣補佐機能を明確化するためのものとされております。政府は今回の改正によって文民統制に関する考え方は変わっておらず、文民統制を弱めるようなことはないと説明をされております。  一方、国会の審議におきましては、戦前の反省を踏まえた文官統制、文民統制という日本の安全保障制度の極めて重要な仕組みをなし崩し的に弱めてしまうとの懸念も示されております。国会の論議におきましてはいろんな議論があるのは当然でございます。いずれにしましても、懸念されるような事態が生じないよう、法案を出しておられる政府におかれて適切に答弁をし、適切に運営されるよう期待をしております。  次に、現在審議されております重要法案の審議につきましての感想等という御質問でございます。  与党と野党で賛否が分かれるような法案につきましては、相互の主張や対立点が明確になっていくということは大事なことであり、必要なことであります。まさに国会はそういう議論のやりとりをして、どうするかということが決められる場でございます。その過程で、政府は反対意見に対しまして、やはりわかりやすく丁寧に説明をし、理解を得られるような努力をすべきであります。こうした点を踏まえまして、国会は国民を代表して議論をされている場でございますから、十分に審議が尽くされることを期待をする次第であります。  次に、地方創生、人口対策に関連しまして、東京の一極集中など国の施策こそ抜本的な展開を図る必要があるというお考えに対して所見を聞くという御質問であります。  人口の減少はこれまで島根など地方などの問題と考えられてきましたが、政府におかれては日本全体の問題と捉えて、地方に一定の支援をされようとしておるわけでございます。これは今までになかったことでございますから、我々はこれを一つの好機として活用していかなければならないというふうに思っておるところでございます。  ただ、その対策が十分なものかどうかというのはいろんな議論があると思います。それは財政の事情、いろんな事情もあろうかと思います。しかし、そういう方向に動き出しておられるということは、我々として歓迎をするということでございます。我々もそれに対応した努力、いろんな対策も講じていかなければならないというふうに思います。  その中で、私は石破大臣にも来られたときに申し上げたことがありますけども、地方が大都市から人を誘引するような政策をとるというのは、当然地方としてやらなければなりませんけども、東京といった大都市自身が吸収をするから、あるいは経済の活動が活発ですから、自然にそちらに流れるわけでありまして、そういう対策を一体どうするんですかと。そういうものは余り見えませんねということは申し上げております。  しかし、難しいことは、東京都に上がってくる地方税だとか、そうした財源を地方に振り分けるということは、これまで法人事業税などについていろんな論議がございましたように、なかなか難しい問題でございます。そこについては、大都市における法人税などについていろんな対応をするといった考えもあると思います。そういう面で、大都市に集中する動きを抑制するような対策もとるべきだというふうに私どもは考えておりますし、そういうことを申し上げておりますが、それに向けて国の施策の充実が必要だと思います。  それから、政府の矛盾した政策下で地方創生政策を展開をすると。派遣労働者の法律改正に関連しての御質問でございますけども、人口減少問題に対応していくためには、若い世代の結婚、出産、子育ての希望がかなっていくということが大事でございまして、若い世代の人たちが安定した所得を得るというのは大事なポイントでございます。そのためにいろんな対策もあるわけでございますけども、やはり産業の振興を図り、若い世代が安心して働ける雇用の場を生み出していくと、それによって所得の向上を図っていくということが大事であるわけでございます。  他方で、今般の労働者派遣法改正案は、派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るためのものとされておるわけでございます。全ての労働者派遣事業を許可制とするなど、派遣事業の健全化のための措置を講じている一方で、派遣期間規制の見直しをしている点については、不安定な雇用が広がるという指摘もあるわけでございます。労働者派遣事業に関する法の改正につきましては、やはり国会におきまして十分に議論が尽くされて、若い世代の雇用の確保につながるようにしていただきたいというふうに考えております。  それから、地方版総合戦略の目標が達成できなかった場合の責任についての御質問がございました。  総合戦略における目標につきましては、どのような設定の仕方が適当であるのか、現在まだ検討中でございます。石破大臣の発言に言及をされましたが、そのことは私も報道等で見ましたが、政府が今の段階で地方版総合戦略の実施に向けてどのような制度になるのか、国として明らかにされておりません。国におきまして目標が達成できなかった場合にどのような措置が講じられるか、今後検討されると考えられますので、それに適切に対応していく考えであります。  次に、経済財政諮問会議における議論と地方交付税確保の関連についての御質問でございます。  国の経済財政諮問会議では民間議員から、県民1人当たりの一般財源に視点を置いて、交付税制度を見直すべきとの意見が出されているところであります。しかし、地方の行政コストは単純に人口だけでははかられず、県土の面積や形状、過疎、離島地域の有無などの地理的、社会的条件なども大きく影響しておるわけでございます。そのために、必ずしも人口減少に比例して行政コストが低減しないことから、結果として島根のような場合には県民1人当たりに必要な一般財源は増加してくる傾向にあるわけでございます。  一方で、国全体の人口減少対策のためには、出生率の高い島根などの地域に人口を分散することが重要であります。こうした地域は総じて財政力が弱いため、国において地方財源の確保や、その配分に当たって一定の配慮が必要だと思います。地方創生・人口減少対策を推進していくため、今後とも重点要望や知事会、ふるさと知事ネットワークなどを通じまして、国にしっかり働きかけてまいります。  次に、増田レポートに関連しまして、選択と集中の考え方で生まれた地域拠点都市についての御質問であります。  いわゆる増田レポートにおきましては、地方がそれぞれ踏ん張るための拠点として、広域ブロック単位の中核都市に資源や政策を集中的に投入すべきであるという考え方に立って、地域拠点都市が提唱された経緯があります。これは地方から大都市への人口の流出を抑制し、また逆に大都市から地方への移住の受け皿となるような中核都市を地方の側に整備したらどうかという考え方であります。  他方で、島根などにおきましては、中山間地域や離島など条件不利地域に人々が住み続けることができるようにするといったことも大変大事な課題でございまして、そうした対策も地方にとって必要不可欠でございます。島根県は東西に長く、県東部は人口の集積がありますけども、県西部、中山間地域、離島では比較的小規模の市や町でも広い面積を抱え、産業振興や医療、介護等の拠点としての役割を担っております。  そこで、私どももそういう主張をしてまいりましたが、国におきましてはこうした地方の実情を考慮され、地方創生の総合戦略におきましては最初の地域拠点都市、連携中枢都市圏とも言うようでありますが、だけでなく、定住自立圏あるいは小さな拠点といった考え方も盛り込まれておるわけでございます。県としましては地方の実情を十分に踏まえ、それぞれの地方の実情に合った政策を進めることが重要だと考えております。  次に、アベノミクスについての御質問でございます。  円安は、大企業を中心とする輸出関連企業に恩恵がありますが、地方では議員御指摘のとおり中小企業等が中心で輸出関連企業が少なく、円安の恩恵を受けにくいものと考えられます。また、中小企業では円安によって輸入資材のコストアップといった点にも直面し、家計におきましては、賃金の上昇が物価の伸びに追いついていない状況も見られることから、景気の回復を実感しにくい状況にあると思います。  アベノミクス自体につきましては、スタート以降、大企業を中心とする賃上げの実現、新卒者の就職内定率の上昇、有効求人倍率の上昇など、日本全体として見れば経済活性化の方向に一定の寄与をしておるというふうに思います。しかし、地方部では今申し上げたような状況もございます。また、日本銀行の大幅な金融緩和がどのようにして収束していくかは、まだ不透明な状況にあると思います。国におきまして、幅広い分野や業種において経済成長を実現し、家計や中小企業、地方経済にも景気回復の効果を隅々まで波及されるよう取り組むことを期待をしておるところでございます。  次に、島根原発の避難計画の周知についての御質問でございます。  島根原発の避難計画におきましては、県が避難の方法、避難先、避難ルートなどの大枠を定めております。この大枠を基本にしまして、松江市、出雲市、安来市、雲南市の関係4市では、避難する際の1次集結場所や避難施設を設定するなど、より詳細な避難計画を策定しております。関係4市では避難先、避難ルート、避難時の注意点など、避難計画の要点を記載したパンフレットを作成し、全戸に配布をしております。また、広報紙、ホームページ、住民説明会等を開催して、円滑に住民避難が行えるよう周知に努めております。  また、毎年避難訓練をいろんな形でやっておるところでございます。県におきましても関係4市のパンフレットの作成を支援をしたり、原子力広報紙、県のホームページ、原子力防災訓練、原子力施設見学会、原子力講演会、出前講座等で周知に努めておるところでございます。今後もこうした取り組みを繰り返し行っていくことが重要であると考えておるところであります。  次に、2号機の最終的な再稼働の判断についてなどに関連して、住民の声をよく聞かなければいけないのではないかという御質問でございます。  議員御指摘のとおり、県民の方々の意見をいろんなチャネルでできるだけ多く聞くということは、県としても大変大事なことだと考えております。これまで原発に関しましては、さまざまな機会を通じて県民の方々の意見はお聞きしております。  御承知のことでございますが、若干繰り返しますと、県の安全対策協議会におきましては、立地自治体の議員の方々、市議会の議員の方々あるいは行政の関係者、地域住民の代表の方、青年団体、女性団体、高齢者団体など各種団体の代表の方で構成をされておりますし、安全対策協議会などにおきましては、一般の傍聴者の方々にも参加をしていただいて、一般の傍聴席からも意見が言えるような仕組みをとっておるところでございます。  また、県民の方々は島根県のホームページの中で県民ホットラインというところがございますが、そこでいろんな意見をお寄せをいただいておりまして、私どももそれで、そういうものに掲載された場合にはよく見ておるところでございます。  また、私自身も市民団体の方々などから面会を求められるということがございます。そういうときにはできるだけお会いして話を聞くということをやっておるところでございます。  島根原発の再稼働等について、中国電力から地元の同意等を求められるといった場合につきましては、従来から申し上げておりますとおり、県議会を始め安全対策協議会、原子力安全顧問、松江市や周辺自治体などの意見をよくお聞きして、総合的に判断をしてまいる考えであります。  それから、原発は国策であって、原子力防災対策は国が責任を持って対応すべきだと、そういうことを重点要望等で訴える必要があるがどうかという御質問でございます。  まさに原子力政策は国がいろんなエネルギーの自給あるいは原発の安全性、いろんなことを考えて責任を持って対応すべき施策でございます。また、技術的に申し上げれば、原子力災害は起こるとその被害が広範囲に及ぶだけでなくて、その対応には専門的な知見等が必要なわけでございます。それはやはり国の機関が責任を持ってそういう知見を提供して、安全な避難ができるようにしなきゃいかん、国の責任は非常に大きいと私どもは思っております。  福島原発事故が起こりまして、私どもやはり避難対策をきちっとやってもらわないと、政府として対応がおくれているということは何度も何度も言ってまいりまして、そういうことでいろんな事態が進展してきているという面もございます。  今、原発所在地で国、そして関係の自治体などが一体となって原子力防災協議会を設けております。それもそういうプロセスの中でやっとできてきたというようなものでありますし、そしてまた防災対策のためのいろんな経費がかかるわけでございますけども、それもやはり国が全部負担をしなければならない、それについても徐々にでありますけども、進展はしてきているということでございます。政府もそういう点については、時間の経過とともにいろんな対応は強化をしておられるというふうに思いますけども、十分であるかどうかについては、まだ問題が残っておるというふうな感想を持っておるところでございます。  私どもは、県や市町村が行う防災対策の強化に当たりまして、国が前面に立って調整し、支援というのも変な話でございまして、当然の義務でございますから、国が対応しなければならないといったことを言っておるわけでございます。これは県の重点要望などにもそうした申し入れをしておるところでございますし、全国知事会あるいは他の立地道県で構成いたします原子力発電関係団体協議会の要望などにおきましても、国に対して申し入れているところでございます。今後もやってまいります。  次に、地域医療構想に関連しての御質問でございます。  地域医療構想は、超高齢社会へと向かういろんな議論から始まっておるわけでございますけども、特に急激な高齢化の進展、医療費等の社会保障費の増加といった問題にどう対応するかといったことから始まっておるわけでございます。構想の基礎となります病床必要数の算定方法を国が検討する際には、専門家による検討会が設置をされ、地方団体の代表も加わって議論がなされたと聞いておるところでございます。全国知事会としましては、医療の現場や住民に混乱を来すことがないよう、地域の実情を十分踏まえた地域医療構想となるよう意見書も提出をしておるところでございます。  そうした過程を通じまして、今回国が示されたように、全国共通の方法で2025年に必要な病床数を推計することとなりましたが、これは各地域が将来あるべき姿を議論するための一つの参考の推計だというふうに厚労省は説明をしているところでございます。今後、地域医療構想の策定を契機に、各地域がいろんな課題があるわけでございまして、それを明確にしてそれを国に伝えていくということが大事でございます。  例えば、今般の病床数の減少の大きな要因となっておりますのは、医療行為が低い、診療報酬の点数の低いところは比較的軽微な医療行為であるので、これを在宅医療に切りかえようということが大きな効率化の要素になっておるわけでございますが、しかし在宅医療への移行を進めるんであれば、午前中にも答弁いたしましたが、介護施設等を充実するための財源の手当てでありますとか、あるいは過疎地域での在宅医療の体制、お医者さんの確保、そういったものをどういうふうに進めるかということがないと、議論ができないわけでございまして、そういう点を国に伝えながら、そういう在宅医療の拡充と申しますか、それが可能なのかどうか、あるいはそれが適切なのかどうか、そういう議論をしていくということだろうと思います。その上で提案されているような形に進むのか、あるいは別な方法をとるのか、あるいは別の方法も国民負担を全体でふやすということも一つの選択肢でございますけども、それは現状では取り入れられてないわけでございますが、幅広い論議が必要なんではないかというふうに思っておるところでございます。  最後に、TPP交渉についてでありますが、TPP交渉への対応につきましては、県議会とも一緒になりまして、今回の国に対する重点要望の中でも次のようなことを表明をしております。  1つは、影響が甚大な農産品などについては、関税撤廃の例外措置を確保すること、2番目に、交渉の進展について適時に十分な情報提供、説明を行うこと、3番目に、国益を損なうということになるのであれば、TPP不参加を含め、国民の意向をよく酌んで慎重に対応すること、こういうことを言っておりますが、引き続きあらゆる機会に対しまして国へ要望してまいりたいと考えております。以上であります。 14: ◯議長絲原徳康) 丸山政策企画局長。  〔丸山政策企画局長登壇〕
    15: ◯政策企画局長丸山達也) 私からは、地方創生のための国の交付金が来年度以降も確保される見込みについてお答えを申し上げます。  今月12日に開催されました国のまち・ひと・しごと創生会議において示されました基本方針の案では、来年度の交付金の規模については明示をされておりません。また、この会議では安倍総理から、必要な財源を確保する必要があり、関係各大臣が協力して、補助金等の見直しや新型交付金の創設の作業を進めるよう指示がなされております。  先般の県の重点要望におきましては、交付金につきまして十分な規模の確保や自由度の高いものとすることを要望し、また全国知事会からも今年度の額を大幅に上回る額の確保や、縦割りの個別補助でない包括的なものとすることを求めております。  交付金の総額や使途につきましては、今後毎年毎年の予算編成で決まることから、今後も引き続き国の動向を注視いたしまして、自由度が高く十分な規模となるよう働きかけを行う必要があると考えております。以上でございます。 16: ◯議長絲原徳康) 藤間健康福祉部長。  〔藤間健康福祉部長登壇〕 17: ◯健康福祉部長藤間博之) 私からは、地域包括ケアシステムの構築状況についてお答えをいたします。  地域包括ケアシステムは、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年を目途に医療、介護、介護予防、生活支援、住まいといったサービスを切れ目なく一体的に提供していく仕組みでございます。その構築は市町村が主体となって進めてまいりますが、医療や介護にかかわるさまざまな団体、事業所と合意形成を図りながら、サービス資源の整備を行っていく必要があり、一定程度時間がかかるものと認識をしております。現在、その検討が緒についたところであり、今後さまざまな協議、調整が行われてまいります。  御指摘の24時間対応の巡回サービスや訪問診療、訪問看護は地域包括ケアシステムの中の重要なサービス要素でありますが、他方、これらは採算面ですとか医療、介護人材の確保、こういった面で課題もございまして、提供体制の整備は容易ではない状況にもございます。今後、これらの点も含めまして議論が深められると思いますが、県といたしましては、各圏域の保健所が中心となりまして、訪問診療や訪問看護など必要な医療、介護資源の確保等も含め、よりよいシステムの構築ができるよう、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。以上でございます。 18: ◯議長絲原徳康) 藤原教育長。  〔藤原教育長登壇〕 19: ◯教育長藤原孝行) 国会などでの議論に関連して、道徳教育についてお尋ねがありました。  道徳教育については、学校教育法施行規則などが改正され、これまで実施されてきた道徳の時間が小学校は平成30年度、中学校は平成31年度から特別の教科として実施されることになります。議員が紹介された国会などでの議論により、道徳教育にどう影響が出るかわかりませんが、御意見は大人の言動が子どもたちに大きな影響を与えるのではないかという御心配であると思いました。子どもたちは、社会とのかかわりの中でさまざまな大人の言動や世の中の出来事に出会い、いろいろな影響を受けながら育っていきます。そうした中で道徳教育により規範意識、生命の尊重、他者への思いやりなどの道徳性を育み、子どもたちが主体的に判断し適切に行動できるよう、道徳教育を進めてまいります。 20: ◯議長絲原徳康) これをもって代表質問を終了します。  以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は6月24日に開きます。  本日は、これをもって散会いたします。        午後2時18分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...